瀬戸内はなぜ雨が少ない? — ため池と讃岐うどんが生まれた地理
日本は雨の多い国なのに、瀬戸内海ぞいだけは一年を通して雨が少ない。気候の区分をおぼえるときの大切なポイントです。「なぜ?」まで説明できると、香川のため池もうどんも、全部つながって覚えられます。
2つの山地が、雨のもとを両側からさえぎっている
雨のもとになるのは、海からふきこむしめった季節風です。ところが瀬戸内海ぞいの地域は、
- 北側に中国山地(日本海からの冬の季節風をブロック)
- 南側に四国山地(太平洋からの夏の季節風をブロック)
と、両側を山地にはさまれています。しめった風はそれぞれ山の手前で雨や雪を降らせてしまい、瀬戸内に届くころにはかわいた風になっている。だから夏も冬も雨が少ないのです。「冬の日本海側に雪が降るしくみ」の、ちょうど内側バージョンだと考えるとわかりやすいでしょう。

雨が少ない土地の、水をめぐる知恵
米作りに水はかかせません。雨にたよれない讃岐平野(香川県)の人々は、昔から水をたくわえる工夫を重ねてきました。
- ため池: 讃岐平野には大小のため池が無数にあります。中でも満濃池は日本最大級のため池で、およそ1200年前に空海が改修したと伝えられる歴史ある池です。
- 香川用水: それでも水不足は続いたため、1978年、となりの徳島県を流れる吉野川から水を引く香川用水が完成しました。県をまたいで水を運ぶ大工事です。

讃岐うどんも「雨が少ない」から生まれた
香川といえばうどん。これも気候の産物です。雨が少ない讃岐平野では、水をたくさん使う米だけにたよらず、乾燥に強い小麦の栽培がさかんになりました。その小麦から生まれたのが讃岐うどんの文化。香川県のうどん消費量は全国トップです。

「山2つ・池・うどん」を1本の線でおぼえる
- 瀬戸内の少雨=中国山地と四国山地のダブルブロック
- 少雨→ため池(満濃池)・香川用水(水の確保)
- 少雨→小麦→讃岐うどん(水にたよらない作物)

「雨が少ない」というたった1つの事実から、地形・水利・食文化までが芋づる式につながっています。