円の面積はなぜ「半径×半径×3.14」? — ケーキのように切って長方形にもどす
円の面積は「半径×半径×3.14」。公式として覚えている人は多いと思います。でも、少し不思議ではないでしょうか。長方形の「たて×よこ」なら、マスの数を数えるかけ算だと納得できます。丸い形には、たてもよこもありません。それなのに、どうしてかけ算2回で広さが出るのでしょうか。
この記事では、公式を「切って並べる」ことで自分の目で確かめます。3.14がどこから来たのかも、半径を2回かける理由も、同じ1枚の図から見えてきます。
3.14は、もともと「まわりの長さの数」
先に、3.14の正体をおさえます。どんな大きさの円でも、まわりの長さ(円周)は直径のおよそ3.14倍です。この倍率のことを円周率と呼びます。

つまり 円周=直径×3.14 です。ここで覚えておいてほしいのは、3.14は「面積の数」ではなく「まわりの長さの数」だということ。その3.14が面積の公式にも顔を出すのは、偶然ではありません。理由はこのあと分かります。
ケーキのように切って、たがいちがいに並べる
丸い形のままでは、たてもよこも測れません。そこで、三角形や台形のときと同じ作戦を使います——長方形にもどすのです。
円をケーキのように中心から切って、細いおうぎ形に分けます。そして、上向き・下向きをたがいちがいにして横一列に並べます。

切って並べただけなので、広さは少しも変わっていません。できあがった帯はまだ波うっていますが、もっと細かく切るほど、でこぼこは小さくなって長方形に近づいていきます。下の動く図で確かめてみてください。8等分・16等分・32等分と切り方を細かくして、見比べるのがおすすめです。
できた長方形の、たてとよこを読む
並べてできた長方形の、たてとよこの長さを読み取ってみましょう。
たては半径です。おうぎ形のまっすぐな辺は、もともと円の中心からふちまで切った線。その長さは半径そのものだからです。
よこは円周の半分です。たがいちがいに並べたので、円のまわり(弧)は、半分が帯の上がわに、残りの半分が下がわに分かれます。8等分なら、上に4つ・下に4つです。だから下がわ、つまり「よこ」の長さは、円周のちょうど半分。円周は直径×3.14でしたから、その半分は半径×3.14です(直径の半分が半径だから)。

あとは長方形の公式に当てはめるだけです。
面積 = たて × よこ = 半径 × (半径×3.14) = 半径×半径×3.14
公式の謎が解けました。3.14は円周から運ばれてきた数で、半径が2回かけられるのは、たてにもよこにも半径が入っているからだったのです。
数字で確かめる
半径10cmの円で試してみます。面積は 10×10×3.14=314cm²(平方センチメートル)。並べた長方形で考えても、たて10cm・よこ 10×3.14=31.4cm で、10×31.4=314cm²。ちゃんと同じになります。
覚え方 — 「ケーキの図を1枚」
公式を忘れそうになったら、ケーキの図を1枚思い出してください。
- 3.14は円周の3.14と同じもの。面積のために新しく出てきた数ではない。
- 半径×半径は「たて×よこ」のこと。たてが半径、よこが半径×3.14。
- 三角形も台形も円も、面積の公式はぜんぶ「長方形にもどす」から生まれている。
切り方ひとつで、丸い形にもたてとよこが見えてくる——面積の公式は、覚えるものというより「作れるもの」なのです。