すい体の体積はなぜ「÷3」? — 立方体を切ると同じ形が3つ
体積の公式にも、割り算のついたものがあります。すい体(先のとがった立体)の体積は、底面積×高さ÷3。面積の÷2なら「半分」だと分かります。でも÷3の3は、いったいどこから来たのでしょうか。
じつはこの3も、暗記する記号ではありません。立方体は、同じ形のすい3つに、ぴったり切り分けられる——÷3は、その「3つ」がそのまま式に残ったものです。
土台は「柱」 — 底面積×高さ
まず、割り算のつかない方から。角柱や円柱のような柱の形の体積は、底面積×高さです。1辺が1cmのサイコロを底に並べると、1段目に並ぶ数が底面積。それが高さの分だけ積み重なるので、かけ算になります。
では、同じ底面・同じ高さで、先をとがらせたらどうなるでしょう。

上へ行くほど細くなるので、柱より小さいのは確かです。問題は、何分の1か。半分より小さそうに見えますが、見た目だけでは決められません。
立方体を切ると、同じ形が3つ
面積の÷2のときは、「同じ三角形を2つ合わせると平行四辺形になる」が答えでした。体積でも同じ作戦が使えます。ただし今度は、合わせるのではなく切る方から行きます。
立方体の1つの角に注目してください。その角を、3つとも同じとがった先にします。角を含まない3つの面が、1枚ずつ、すいの底面になります。すると立方体は、すい3つに切り分けられます。

この3つは、色が違うだけでまったく同じ形です(あとに出てくる「切って確かめてみよう」の動く図で、回して並べられます)。同じ形が3つで立方体1個分。だから、すい1つ分の体積は、立方体の3分の1です。
式でも確かめてみましょう。立方体の1辺を1cmとすると、体積は1×1×1=1cm³。切り分けたすいは、底面が1辺1cmの正方形(底面積1cm²)、高さも1cm。公式に当てはめると 1×1÷3=3分の1cm³——ぴったり合います。
とがった先は、どこにあってもいい
「でも、いま切り出したすいは、先が角の真上にある傾いたすいだよ」と思った人は、鋭い。ふつうのすいは、先が底面のまん中の上にあります。形が違うのに、同じ公式でいいのでしょうか。
いいのです。それを確かめるために、すいを薄い輪切りの重なりだと考えてみます。トランプを積んだ山を横へ少しずつずらしても、カードが1枚も増えないのと同じで、輪切りを横へずらしても、体積は変わりません。そして輪切りをずらすことは、とがった先の位置を動かすことです。下の図で、先を左右に動かしてみてください。
どこへ動かしても、輪切りの枚数も大きさも変わらない——底面と高さが同じなら、先がどこにあっても体積は同じです。だから、傾いたすいで確かめた÷3が、まっすぐなすいでもそのまま使えます。底面や高さの大きさを変えても同じです。柱とすいが一緒に伸び縮みするだけなので、「柱の3分の1」という関係はくずれません。
円すいも同じ÷3
底面が円になっても、考え方は変わりません。すい体はどれも、底面から先へ向かって同じ割合で細くなっていく形です。同じ底面積・同じ高さの四角すいと比べると、どの高さで切っても輪切りの面積が同じです。輪切りがぜんぶ同じなら、全体の体積も同じ。だから円すいの体積も底面積×高さ÷3。アイスクリームのコーンも、とんがり帽子も、みんな÷3の仲間です。
切って確かめてみよう
立方体が3つに分かれるところを、手で動かせるようにしました。ひとりでに分かれて戻りますが、つまみを動かせば自分のペースで確かめられます。
分かれた3つは、切り離して回しただけで、形は何も変えていません。最後に同じ姿で並ぶのは、3つが本当に同じ形だからです。
覚え方 — 「とがった形は÷3」
体積の公式で迷ったら、この2つだけ思い出してください。
- 柱(上まで同じ太さ)→ 底面積×高さ
- すい(先がとがる)→ 底面積×高さ÷3
面積の÷2は「同じ形2つで平行四辺形」の2でした。体積の÷3は「同じ形3つで立方体」の3。割り算の数は、何個で元の形ができるかを覚えているのです。公式を忘れても、この仕組みを思い出せば組み立て直せます。