ふりこの1往復は、なぜ「長さ」だけで決まる? — 重くしても速くならない理由
公園のブランコを思い出してください。大人が乗っても子どもが乗っても、ひと揺れにかかる時間はだいたい同じです。重い人が乗ったら、勢いがついて速く揺れそうなのに——そうはなりません。
ひもにおもりをつるして揺らしたものをふりこといいます。ブランコもふりこの仲間です。そしてふりこには、不思議なほどきれいなルールがあります。1往復にかかる時間は、ふりこの長さだけで決まる。重さを変えても、ふれはばを変えても、変わらないのです。
ふりこで変えられるものは、3つ

ふりこの実験で変えられるものは3つあります。おもりの重さ、ふれはば(どこまで持ち上げて放すか)、そしてふりこの長さです。
ここで注意がひとつ。長さは、ひもの長さではなく、支点からおもりのまん中までの長さです。同じひもでも、大きなおもりをつけると、まん中が下がる分、ふりこは長くなります。
実験のコツは、変えるものを1つだけにすること。重さと長さを同時に変えてしまったら、どちらが効いたのか分からなくなります。1つずつ変えて、ほかはそろえる——これは、ふりこに限らず理科の実験ぜんぶで使う考え方です。
重さを変えても、変わらない
まず意外なほうから。おもりを2倍、3倍に重くしても、1往復の時間はまったく変わりません。
理由はこうです。重いおもりは、たしかに強い力で下へ引っぱられます。でも同時に、重いものは動かしにくい。引っぱる力が2倍になっても、動かしにくさも2倍になるので、ちょうど打ち消し合ってしまうのです。
これは「重いものも軽いものも、落とすと同じ速さで落ちる」という話と同じです。昔ガリレオという科学者が確かめたことで知られています。ふりこは「斜めに落ちて、斜めに上る」運動なので、同じことが起きます。
ふれはばを変えても、変わらない
大きく持ち上げて放すと、おもりは長い道のりを通ります。時間がかかりそうですが——これも変わりません。
大きく持ち上げるほど、おもりは高いところから落ちはじめるので、その分速く走るからです。道のりが長くなった分と、速くなった分が、ちょうどつり合います。
(正直に言うと、ふれはばをうんと大きくすると、1往復はほんの少しだけ長くなることが知られています。ただ、学校の実験くらいのふれはばでは、気づかないほど小さな差です。)
長さを変えると、変わる
残るは長さ。これだけが効きます。長いふりこはゆっくり、短いふりこは速く揺れます。しかも、その変わり方にはきれいな決まりがあって、長さを4倍にすると、1往復はちょうど2倍になります。
身のまわりにも、このルールは生きています。ブランコは、すわって乗るより立って乗るほうが、ひと揺れが少し速くなります。立つと体のまん中が上がって、ふりこが短くなるからです。音楽で使うメトロノームは、さかさまのふりこ。棒についたおもりを上へずらすと、支点からおもりまでが長くなるので、テンポはゆっくりになります。昔のふりこ時計は、この「長さで時間が決まる」性質を利用して時を刻んでいました。
比べて確かめてみよう
2つのふりこを並べました。ボタンで変えるものを1つえらんで、つまみで右のふりこだけを変えられます。下の数字は、それぞれの1往復の時間です。
重さとふれはばでは、2つの揺れがいつまでもぴったりそろったまま。長さを変えたときだけ、揺れがずれていきます。長さを4倍(つまみを右いっぱい)にすると、数字がちょうど2倍になることも確かめてみてください。
覚え方 — 「ふりこは長さがすべて」
ふりこの問題で迷ったら、この1行だけ思い出してください。
- 1往復の時間を変えるのは、長さだけ(長いほどゆっくり)
- 重さ・ふれはばは、変えても変わらない
「重くしたら速くなりそう」という直感は、だれもが持っています。でも引っぱる力と動かしにくさが打ち消し合う——それを知っていれば、ひっかけの選択肢にはもう迷いません。