加工貿易からどう変わった? — 日本の貿易のいまを3ステップで理解する
「日本は加工貿易の国」と習います。でも今の日本の貿易は、その説明だけでは足りません。「どう変わったか」まで知ると、ぐっとよくわかります。3つのステップで変化を追いかけましょう。
ステップ1: なぜ日本は加工貿易だったのか
加工貿易とは、原料や燃料を外国から買い、工場で製品に作りかえて輸出する貿易のこと。日本がこの形をとった理由はシンプルで、国内でとれる資源が少ないからです。
石油も鉄鉱石もほとんど輸入にたよる。ならば輸入した原料に、技術で価値を加えて売る。戦後の日本は、この加工貿易で工業国として成長しました。戦前の中心は繊維品、やがて機械類や自動車へと主役が交代していきます。

ステップ2: 「製品を輸入する国」への変化
1980年代以降、この形が変わり始めます。輸入にしめる製品の割合が高まったのです。原料だけでなく、衣類や電化製品などの完成品を外国から買うようになりました。
背景は2つ。日本企業が海外に工場を移したこと(海外でつくった製品を日本へ輸入する)、そしてアジアの国々が工業力をつけたことです。衣類の最大の輸入相手が中国であることは、その象徴といえます。

ステップ3: 海外生産の影の面 — 産業の空洞化
工場が海外へ移ると、企業にとっては生産費をおさえられますが、国内では工場がへり、仕事もへってしまう。これを産業の空洞化といいます。「海外生産の何が問題か」と問われたら、この言葉で答えます。

いまの日本の輸出の中心は変わらず機械類や自動車ですが、「原料を輸入して製品を輸出」という単純な加工貿易の説明は、製品も大量に輸入する現在の姿とセットで語る必要があるのです。
3ステップを矢印でつないでおぼえる
- 資源が少ない→加工貿易(理由から覚える)
- 1980年代〜→製品輸入が増加(海外生産+アジアの成長)
- 工場の海外移転→産業の空洞化(この言葉ひとつで説明できる)

「昔の姿・変化のきっかけ・今の課題」。この3点がそろえば、貿易の話はだいたい自分の言葉で説明できます。