雲はどうやってできる? — 冷たいコップにつく水滴と、同じ仕組み
夏に冷たい麦茶をコップに注いでしばらく置くと、コップの外側にびっしり水滴がつきます。あれはコップから水がしみ出したのではありません。そして、あの水滴と空に浮かぶ雲は、まったく同じ仕組みでできています。
空気は、水蒸気を無限には持てない
空気の中には、目に見えない水が水蒸気として混ざっています。ただし、いくらでも持てるわけではありません。空気1立方メートルが持てる水蒸気の量には上限があり、これを飽和水蒸気量といいます。
大事なのは、この上限が温度によって変わることです。温かい空気はたくさん持てて、冷たい空気は少ししか持てません。
大きさの違うバケツを思い浮かべてください。温かい空気は大きなバケツ、冷たい空気は小さなバケツです。同じ量の水を入れても、大きいバケツならまだ余裕がある。でも小さいバケツに移し替えたら、入りきらない分があふれます。

このあふれた分が、水滴です。
コップのまわりで起きていること
氷水の入ったコップに戻ります。コップに触れた空気は、氷で冷やされます。冷やされた空気はバケツが小さくなるので、それまで持てていた水蒸気を持ちきれなくなる。あふれた水蒸気がコップの表面で水に戻る。これがあの水滴の正体です。

つまり水滴は、コップの中から出てきたのではなく、まわりの空気の中にもともとあったものです。
空でも同じことが起きている
では空の雲はどうでしょう。空気を冷やす氷のコップは、空にはありません。かわりに空気を冷やすのは、上へ持ち上げられることです。
空気は上へ行くほど冷えていきます。仙台管区気象台の説明では、100メートル上がるごとにおよそ1℃冷えます。地上から1000メートル上がれば10℃ほど下がる計算です。
冷えた空気はバケツが小さくなり、持ちきれなくなった水蒸気が水や氷の粒になる。空の高いところで、その粒が集まって白く見えているものが雲です。

空気を持ち上げるものは何か
あとは「何が空気を持ち上げるのか」が分かれば、天気の話はだいたいつながります。持ち上げる力は、おもに次のようなものです。
- 低気圧の中心。まわりから風が吹き込み、行き場をなくした空気が上へ向かう
- 山の斜面。ふもとから吹いてきた風が、山にぶつかって斜面を登る
- 前線。性質の違う空気がぶつかり、軽い温かい空気が押し上げられる
- 夏の強い日差し。温められた地面が空気を下から押し上げる
夏の午後に入道雲がむくむく育つのは、いちばん下の理由です。日差しで地面が温まり、その上の空気が勢いよく上昇していく。だから入道雲は縦に高く伸びます。
反対に高気圧の中では空気が上から下へ降りていくので、雲ができにくく晴れます。「低気圧は雨、高気圧は晴れ」を丸暗記していた人は、ここで理由とつながったはずです。
コップ1つ分の話に戻して覚える
この単元は用語が多くて混乱しやすいのですが、覚えることは実はひとつだけです。
空気が持てる水蒸気の量には限りがあり、冷えると限界が下がってあふれる。
- 冷やすものがコップの氷なら、水滴はコップの外側につく
- 冷やすものが「上へ持ち上げられること」なら、水滴は空に浮かんで雲になる
飽和水蒸気量も、湿度も、上昇気流も、低気圧も、この一文から枝分かれしています。用語を1つずつ覚えるのではなく、コップの水滴を思い出してから枝をたどるほうが、はるかに忘れにくくなります。